夕方、軒下のすき間から小さな影がいくつも飛び出していく。
ベランダや窓の下に、黒くて小さなフンが毎朝落ちている。
それは、家の中にコウモリがすみかを作っているサインかもしれません。
この記事でわかること
- 家に住み着くコウモリの正体と、入り込む場所
- 法律で許される対策と、追い出しに向く時期
- 自分で追い出してふさぐ手順と、業者に頼む目安
コウモリは許可なく捕まえられません。
できるのは、傷つけずに外へ出し、戻れないように侵入口をふさぐこと。
出産・子育ての夏と冬眠中は避け、日没後に出ていったあとでふさぐのが基本の流れです。
家に住み着くのはアブラコウモリ
手のひらに乗るほどの小さなコウモリ
日本には約35種のコウモリがいます。
このうち家をすみかにするのは、アブラコウモリだけです。
家に住むことから、イエコウモリとも呼ばれます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 体長 | 3〜5cm |
| 体重 | 5〜10g |
| 食べ物 | ガや羽アリなどの昆虫 |
| 出産 | 7月ごろ、1回に2〜3頭 |
| 冬眠 | 11月ごろ〜4月ごろ |
| 寿命 | オス3年、メス5年程度 |
1頭が1日に蚊ほどの虫を約500匹食べる、という自治体の紹介もあります。
害虫を食べる益獣の一面もあるのです。
住み着く原因は「小さなすき間」
アブラコウモリは、建物や洞窟をねぐらにする動物です。
家に入り込めるすき間は、わずか6mmほどです。
大人の小指の先も入らない幅です。
屋根と外壁の小さな継ぎ目でも、出入り口になりえます。
住み着きやすい場所
住み着きやすいのは、次のような場所です。
- 屋根裏
- 戸袋(雨戸をしまう箱)
- 換気口
- 軒下
- 瓦の下
倉庫や高架下も、すみかの候補です。
群れで暮らし、多いときは100頭ほどになることもあります。
コウモリが住み着いているサイン
姿を見なくても、次のような跡でわかることがあります。
| サイン | 見る場所 |
|---|---|
| 5〜10mmのもろいフン | 軒先、ベランダ、窓の下、外壁の足もと |
| 夕方に飛び出す影 | 軒下、戸袋、換気口のまわり |
フンの大きさは、害虫防除の専門団体が示す目安です。
昆虫を食べるので、つまむと簡単に崩れます。
ネズミのフンと大きさが近いため、崩れやすさと落ちている場所で見分けます。
フンが毎日同じ場所にたまるなら、その真上あたりが出入り口の候補です。
コウモリ駆除は違法?法律でできること・できないこと
捕まえる・殺すには許可が必要
コウモリは、鳥獣保護管理法で守られている野生動物です。
ハクビシンなどと違い、狩猟してよい鳥獣(狩猟鳥獣)にも入っていません。
そのため、家の敷地の中でも、捕まえたり殺したりするには必ず許可が必要です。
| やること | できる? |
|---|---|
| 煙や忌避剤で外へ追い出す | できる |
| 出ていったあとに侵入口をふさぐ | できる |
| 網やかごで捕まえる | 許可が必要 |
| 傷つける・殺す(たたく、殺虫剤を吹きつけるなど) | 許可が必要 |
許可なく捕獲・殺傷すると、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です。
「コウモリ駆除」という言葉は、実際には追い出しと侵入防止のことだと考えてください。
許可の相談先
どうしても捕獲が必要なときは、市区町村か都道府県の担当課に相談します。
市区町村によっては、都道府県の許可が必要です。
追い出しに向く時期と時間帯
避けたいのは夏の子育て期と冬眠期
自治体の案内でも、冬眠の時期と夏の出産の時期は追い出しが難しいとされています。
出産期に追い出すと、まだ飛べない子が中に残るおそれがあります。
| 時期 | 状態 | 追い出し |
|---|---|---|
| 11月ごろ〜4月ごろ | 冬眠 | 避ける |
| 5〜6月ごろ | 冬眠明け、出産前 | 向く |
| 7月ごろ | 出産 | 避ける |
| 8月ごろ | 子育て中の可能性 | 様子を見る |
| 9〜10月ごろ | 子の独立後 | 向く |
「向く」「様子を見る」は、自治体と協会の情報から編集部が整理した目安です。
子は生まれてから約30日で独立します。
7月に生まれた子なら、8月の前半はまだ親に頼っているおそれがあります。
8月にフンに気づいたら、まずは侵入口の場所を確かめるところまでにとどめてください。
ふさぐ前と後で、夕方に出ていく数を比べてください。数が減らなければ、中に残っているか別の出入り口があります。
作業は日没後が基本
国立環境研究所によると、アブラコウモリは日没後10〜30分でエサをとりに出ます。
専門団体も、日没後に外へ出たところでふさぐ方法を紹介しています。
5〜8月は、日の出前にもエサをとることがあるそうです。
自分でできる追い出しの手順
用意するもの
- 煙の出るタイプの害虫駆除剤(火を使わないもの)、またはコウモリ用の忌避スプレー
- 侵入口をふさぐ材料(パテ、金網、目の細かい防鳥ネットなど)
- 使い捨て手袋とマスク
- 懐中電灯
手順1:出入り口を見つける
夕方、フンが落ちている場所の上を見上げて待ちます。
飛び出していくすき間が、出入り口です。
出入り口は1か所とは限りません。
家のまわりを一周して、ほかにもないか確かめてください。
手順2:煙や忌避剤で追い出す
燻煙剤を使った日の夕方、出ていくのを見届けてから手順3に進みます。
自治体の案内には、火を使わない煙タイプの害虫駆除剤を屋根裏に置く方法があります。
燻煙剤(けむりで追い出す薬剤)や忌避スプレーを勧める自治体もあります。
コウモリは、光・ハッカ・トウガラシを嫌うとされています。
使うときは、次の点に気をつけてください。
- 天井裏には上がらず、点検口から手が届く範囲に置く
- 火災報知器の扱いは、製品の説明書にしたがう
- 使用量と換気は説明書どおりにする
忌避スプレーは、すき間に向けてノズルで吹きこめるものが使いやすいです。
「コウモリ用」と書かれたものを選ぶと、使える場所や量が説明書でわかります。
手順3:出ていったのを見届けてふさぐ
ふさぐのは、日没後にコウモリが出ていくのを確かめてからです。
中にいるままふさぐと、閉じ込めて死なせてしまうおそれがあります。
死がいは悪臭の原因にもなるので、順番は必ず守ってください。
手順4:しばらく夕方に確認する
ふさいだあとも、何日か夕方に同じ場所を見てください。
別のすき間から出入りしていないか、新しいフンが落ちていないかを見てください。
コウモリは追い払っても戻ってくることが多いと、自治体も注意しています。
追い出したら、必ずふさぐところまで行ってください。
ふさぐ材料の選び方
ふさぐ材料は、パテやシーリング材、金網や目の細かい防鳥ネットが基本です。
| すき間の形 | 向く材料 |
|---|---|
| 細い割れ目、配管まわり | パテ、シーリング材 |
| 換気口、通気口 | 目の細かい金網 |
| 軒下など広い範囲 | 目の細かい防鳥ネット |
コウモリは6mmのすき間を通れるので、網目5mm以下を選んでください。
東京都ペストコントロール協会は、4メッシュ(網目5.25mm)の金網を例に挙げています。
ネットや金網は、網目の大きさがパッケージに書いてあるものが選びやすいです。
屋外で使うなら、さびにくいステンレス製や、紫外線に強い素材が向いています。
換気口のふさぎ方は、家全体の侵入口の対策とまとめて考えると効率的です。

2階や屋根の作業は無理をしない
高い所の作業は、専門業者への依頼も考えるよう自治体も案内しています。
2階の軒下や屋根の近くは、はしごからの転落が心配です。
脚立の上で手を伸ばさないと届かない場所は、業者に任せてください。
100均グッズ・蚊取り線香・CD・超音波は効く?
自治体の案内にある方法と、注意点をまとめました。
| 方法 | 自治体の案内 | 注意点 |
|---|---|---|
| 蚊取り線香の煙 | 一時的にいぶり出す効果 | 火の始末。効果は一時的 |
| ナフタリン、ハッカ | においを嫌がる | 部屋ににおいが下りることがある |
| CD、アルミ箔 | 侵入口に置くと近づきにくくなる | 効果を確かめたデータは見当たらない |
| 超音波装置、アプリ | 紹介や貸し出しをする自治体がある | 慣れるおそれがある |
超音波は、農研機構のシカの実験で慣れることがわかっています。コウモリでの結果ではありませんが、超音波だけに頼るのは避けてください。
100円ショップでも、ネットや結束バンド、手袋はそろいます。
使うときは、網目が5mm以下かを必ず確かめてください。
どの方法も、侵入口をふさがなければまた戻ってくるおそれがあります。
フンの掃除と消毒
素手でさわらない、吸い込まない
自治体の案内によると、海外ではフンのカビを吸い込んで病気になった例があります。
国内ではコウモリが直接の原因となった発症例は、今のところないそうです。
とはいえ、野生のコウモリを素手でさわらないよう、自治体も呼びかけています。
たまったフンは、カツオブシムシなどの害虫が増える原因にもなります。
片付けの手順
- マスクと使い捨て手袋をつける
- 霧吹きでフンを湿らせる
- ペーパータオルで包むように取り、ビニール袋に入れて口を縛る
- フンがあった場所を消毒剤でふく
- 手袋を捨て、手をせっけんで洗う
コウモリのフンの掃除方法を詳しく示した公的な案内は見つかりませんでした。
上の手順の元は、姫路市がネズミのフンについて示した方法です。
その案内は、掃き掃除や掃除機を避け、湿らせてから拭き取る方法です。
天井裏に長くすみついていた場合は、個人で片付けるのは難しくなります。
その場合は、フンの除去や消毒が必要になります。
業者に頼むほうがよいケース
次のどれかに当てはまるなら、業者への相談を考えてください。
- 出入り口が2階の軒下や屋根の近くにある
- 出入り口がいくつもあり、全部を見つけられない
- 天井裏にフンが積もり、においやシミが出ている
- 自分でふさいだのに、また出入りしている
業者は、追い出したあとに糞の除去や消臭、殺虫殺菌も行います。
対応地域は業者ごとに違うので、見積もりは2社以上でとると比べやすくなります。
高額な契約トラブルに注意
国民生活センターは、害虫・害獣駆除のトラブルに注意を呼びかけています。
コウモリの駆除を頼んだ人の事例です。
ホームページに「約8,000円から」とあった業者に、見積もりを頼みました。
結果として、約130万円の契約をしてしまったそうです。
相談者は、契約から5日目にクーリング・オフの通知を出しています。
センターのアドバイスは、次のとおりです。
- 極端に安い価格の広告に注意する
- 複数の見積もりを比べる時間をくれない業者とは契約しない
- クーリング・オフができる場合がある
- おかしいと思ったら、消費者ホットライン188に相談する
よくある質問
賃貸住宅やアパートでコウモリが出たら?
まずは大家さんか管理会社に連絡してください。
侵入口をふさぐ作業は、建物に手を加えることになるからです。
ほかの部屋や共用部分から出入りしている場合もあります。
8月にコウモリに気づきました。すぐ追い出していい?
8月は、7月ごろに生まれた子がまだ飛べないおそれがあります。
子が独立するのは生後約30日です。
出入り口の確認と、フンの片付けから始めるのが無難です。
壁にとまっているコウモリに殺虫剤をかけてもいい?
大津市は、壁に張りついている場合は市販の殺虫剤をかけて追い払うよう案内しています。
ただ、弱らせたり死なせたりすると法律に触れるおそれがあります。
コウモリ用の忌避スプレーを少し離れた所から使い、飛び立たせるのにとどめてください。
たたいたり、網で捕まえたりするのは許可がないとできません。
市役所は駆除してくれる?
多くの自治体が、駆除や捕獲はしていないと明記しています。
対策は、自分で行うか自費で業者に頼むのが前提です。
一方、朝倉市では、相談すると有料で対応できる業者を紹介してもらえます。
各務原市のように、追い払い装置を無料で貸し出す市もあります。
まずは、お住まいの市区町村の環境課などに電話で聞いてみてください。
部屋の中に1匹入ってきたときは?
ライトなどの強い光で、外へ誘導する方法があります。
窓を開けて部屋の明かりを消し、外へ出ていくのを待ってください。
素手ではさわらないでください。
まとめ
- 捕まえる・殺すのは許可が必要。追い出しとふさぐ作業はできる
- 出産期(7月ごろ)と冬眠期(11〜4月ごろ)は避け、8月は子が飛べるようになるまで待つ
- 日没後に出ていったのを確かめてから、網目5mm以下の金網やパテでふさぐ
今日の夕方、フンが落ちている場所の上を見て、出入り口を探すところから始めてみてください。
2階以上の高さなら、はしごに上る前に業者の見積もりをとるほうが安全です。
参考にした情報
- 国立環境研究所 侵入生物データベース「アブラコウモリ」
- 前橋市「コウモリについて」
- 東京都ペストコントロール協会「コウモリの被害」
- 東京都ペストコントロール協会「コウモリの防除」
- 北九州市「よくある相談と対策【コウモリ】」
- つくばみらい市「コウモリを見かけたら」
- 朝倉市「コウモリについてのお知らせ」
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