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害獣にバルサン(燻煙剤)は効く?屋根裏での正しい使い方

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害獣_バルサン

天井裏でドタドタと音がする。ハクビシンかイタチかもしれない。

家にあるバルサンを焚けば、出ていってくれるのでは。

この記事でわかること

  • バルサンと「害獣用の煙タイプ忌避剤」の違い
  • 屋根裏で煙を使うときの手順と安全の注意
  • 子育て中や法律の面で、使ってはいけない場面

バルサンは虫を退治するための薬で、害獣を駆除するものではありません。

煙で「居づらくして追い出す」ことはできる場合もあります。ただし一時的な効果で、侵入口をふさがない限り戻ってくるおそれがあります。

目次

バルサンは「害虫用」で、害獣用ではない

メーカーが示す対象は虫だけ

煙タイプのバルサン(医薬品)の効能は、ゴキブリ・ダニ・ノミ・トコジラミ・ハエ・蚊です。

火を使わない水タイプも、カメムシやムカデなどの不快害虫が対象。ハクビシンやイタチなどの動物は、どの製品の対象にも入っていません。

バルサンは、哺乳類に向けて作られた薬ではありません。動物を弱らせたり退治したりする目的の製品ではない、ということです。

医薬品タイプは天井裏で使えない

見落とされがちなのが、使う場所の制限です。

メーカーは医薬品のくん煙剤について「天井裏、床下なども使用できません」としています。構造上、煙がうまく行きわたりにくいのが理由。

屋根裏で使いたいなら、この時点で普通のバルサンは候補から外れます。

「害獣用の煙タイプ忌避剤」は別の製品

一方で、天井裏での使用を前提にした煙タイプの「忌避剤」もあります。忌避剤とは、動物が嫌がるにおいで遠ざける薬のことです。

メーカーの公式情報で確かめられた例は、どれもネズミ用でした。

種類目的天井裏対象
一般的な燻煙殺虫剤(医薬品)虫を殺す使えないゴキブリ・ダニなど
ネズミよけ+虫よけの燻煙剤追い出し+虫の駆除使えるネズミ・不快害虫
ネズミ用の煙タイプ忌避剤追い出し使えるネズミ

ネズミ用の2つは、ハッカ油や月桃エキスなどのにおいで追い出す仕組み。どちらも「駆除剤ではないので死骸が出ない」と説明されています。

ハクビシンやイタチ向けとうたう煙タイプの商品も売られています。ただ、大手メーカーの公式情報では確認できませんでした。

買うときは、パッケージの対象動物と「天井裏で使えるか」を必ず見てください。

ネズミの場合の使い方は、「ネズミにバルサンは効く?」でくわしく扱っています。

自治体が「煙の出る殺虫剤」をすすめる理由と限界

メーカーの説明とは別に、煙を使った追い出しを案内している自治体はいくつもあります。

自治体の案内の例

  • 相模原市:追い出しには、市販の煙が出るタイプの殺虫剤も効果的
  • 酒田市:くん煙殺虫剤をまいて追い払う方法が考えられる
  • 水戸市:煙の出るゴキブリ忌避剤などでの追い払いも効果があるようだ
  • 前橋市(コウモリ):燻煙剤や忌避スプレーで侵入口から追い出す

どれも「殺す」ではなく「追い払う」ための使い方です。煙とにおいで居心地を悪くする、という考え方でしょう。

東京都は効果の限界も示している

東京都環境局は、くん煙式の殺虫剤などで「その場から追い出すことはできる可能性がある」としています。

そのうえで、次の2つの限界を挙げています。

  • 逃げた動物が別の家に入り、そこで被害を起こすおそれがある
  • 密閉された空間でないと煙が全体に届かず、効果がないこともある

屋根裏は、軒下や換気口のすき間から空気が抜けやすい場所。煙が思うように広がらないことは十分あり得ます。

メーカーと自治体の説明が食い違うときは

普通のバルサンは、メーカーが天井裏での使用を認めていません。自治体の案内を見て使う場合も、説明書に「天井裏で使える」とある製品を選ぶのが安全です。

使う前に確かめる3つのこと

煙を焚く前に、次の点を確かめておくと失敗が減ります。

1. 動物の正体

ネズミなら、追い出しより捕まえる方法が向いています。コウモリは、どんな場合でも許可なく捕まえられません。

正体によって打つ手が変わるので、足音やフンで見当をつけておいてください。

2. 子育て中ではないか

天井裏で高い鳴き声がする、親が出たあとも小さな物音が続く。こうした様子があれば、煙は使わないほうが無難です。

理由は、あとの「子育て中は煙を使わないほうがよい理由」の章で。

3. 侵入口の見当がついているか

追い出したあと、すぐにふさげる準備が必要です。穴の場所がわからないまま煙を焚くと、また入られてしまいます。

煙タイプの忌避剤の選び方

選ぶときは、次の点を説明書やパッケージで確かめてください。

  • 対象の動物が書いてあるか
  • 「天井裏で使用できる」と明記されているか
  • 1個で何畳分に使えるか(天井裏の広さに合うか)
  • 火を使わないタイプか
  • 殺虫成分が入っているか(虫も同時に退治したいかどうか)

火を使うタイプは、ほこりや断熱材のある天井裏には向きません。水を入れて煙を出すタイプなら、火の心配を減らせます。

屋根裏での使い方:手順と安全の注意

ここでは、天井裏で使えるネズミ用の煙タイプ忌避剤の説明書を例にします。実際に使うときは、手元の製品の説明書に従ってください。

使う手順

  1. 点検口や押し入れの天袋など、天井裏に手が届く場所を探す
  2. 家じゅうの煙感知器にポリ袋などで覆いをかける
  3. ペットや水槽、植物を家の外か離れた部屋へ移す
  4. 点検口から腕を伸ばし、手の届く位置に置いて作動させる
  5. 点検口を閉め、人はその場を離れる
  6. 決められた時間(例:2時間以上)がたったら、窓を開けて十分に換気する
  7. 感知器の覆いを外す

煙を出したあとの缶は熱くなることがあります。すぐに素手で触らないようにしてください。

天井裏には上がらない

天井板は、人の体重を支えられるようには作られていないことがあります。踏み抜いて落ちるおそれがあるので、腕を伸ばして置ける範囲にとどめてください。

奥まで置けない場合は、無理をせず業者に相談するのが安全です。

煙感知器の覆いを忘れずに

煙は天井のすき間から部屋へ下りてきます。メーカーも、煙感知型の火災感知器に覆いをするよう求めています。

終わったら覆いを外すのを忘れないこと。付けたままだと、本当の火事に気づけません。

人とペットは近づかない

メーカーの注意書きには、薬剤の処理中は立ち入らないようにとあります。煙を吸い込まないように、点検口のある部屋にも近づかないでください。

メーカーは、天井裏で使うときは「煙が室内に入らないように」とも書いています。点検口はしっかり閉めておきます。

使用量は広さに合わせる

確認できた製品は「6〜8畳に1個」「8畳に1個」が目安でした。

天井裏は、その下の部屋を合わせた広さがあります。1個で家全体に効くわけではありません。

何個必要かは、説明書と業者に確かめてください。決められた量より多く使うのは避けます。

子育て中は煙を使わないほうがよい理由

動物が天井裏で子どもを育てている時期は、煙を焚くのはやめてください。

子どもは自分では出られない

煙で親だけが出ていくと、まだ動けない子どもが天井裏に残ります。

残った子どもが鳴き続けたり、中で死んで強い臭いが出たりするおそれがあります。そうなると、天井を開けての処理が必要です。

出産の時期の目安

動物出産の時期出典
ハクビシン3〜12月と長い国立環境研究所
アライグマ4〜6月ごろ国立環境研究所
イタチ(ニホンイタチ)4〜6月ごろ(3〜5月に交尾し約1か月後)国土交通省
コウモリ(アブラコウモリ)7月ごろ前橋市

ハクビシンは出産期が長く、ほぼ一年中あり得ると考えておくほうが安全です。

子育ての可能性があるなら、自治体の相談窓口か業者に相談してから進めてください。

法律:傷つける目的で使わない

ハクビシン・アライグマ・イタチ・コウモリは、鳥獣保護管理法で守られている野生動物です。

許可なく捕まえたり殺したりはできない

野生の鳥獣は、原則として許可なく捕まえることも、殺したり傷つけたりすることもできません。違反すると、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります。

煙を「弱らせるため」「閉じ込めて退治するため」に使うのは、この禁止にふれるおそれがあります。

使ってよいのは、あくまで傷つけずに追い払う目的だけです。

動物ごとの扱い

動物煙で追い払う捕まえる・殺す
ハクビシン・アライグマできる原則許可が必要。自治体に確認
イタチできる許可が必要と考える
コウモリできるいつでも許可が必要
家ネズミできる許可なくできる(法の対象外)

イタチは、オスとメスで法律上の扱いが違います。見分けるのは難しいので、捕まえるなら許可が必要と考えてください。

アライグマは特定外来生物ですが、だからといって誰でも捕まえてよいわけではありません。

追い出したあとは侵入口をふさぐ

煙の効き目は、その場かぎり。酒田市も、侵入口が残っていると侵入が繰り返されると案内しています。

ふさぐのは「いなくなってから」

中に動物が残ったままふさぐと、閉じ込めてしまいます。相模原市も、建物の中にいないのを確かめてからふさぐよう呼びかけています。

確かめ方の例は次の2つ。

  • 2〜3晩続けて、夜に足音がしないか聞く
  • 侵入口の下に小麦粉や石灰を薄くまき、新しい足跡がつかないか見る

足音も足跡もなくなったら、金網やパテで穴をふさぎます。

置き型の忌避剤で戻りにくくする

煙は一度きりですが、置き型の忌避剤はにおいがしばらく残ります。侵入口をふさぐまでの間や、ふさいだあとの見張り役として置いておくと安心です。

業者に頼んだほうがよいケース

次に当てはまるなら、自分で煙を焚くより、業者に調査を頼むほうが早く片づくことがあります。

  • 煙を使っても、数日たつと足音が戻る
  • 子どもの鳴き声がする
  • 侵入口が2階の屋根まわりなど高い所にある
  • 天井にシミが出ている、臭いが強い

見積もりのときは、侵入口をふさぐ作業まで含まれているかを確かめておくと安心です。再発したときの保証や対応地域は、業者ごとに違います。

費用の目安は、「屋根裏の動物駆除はいくら?」で扱っています。

よくある質問

イタチの駆除にバルサンは使えますか?

普通のバルサンは虫用で、イタチを駆除する薬ではありません。メーカーは、天井裏での使用も認めていません。

煙を使うなら、天井裏で使えると書かれた忌避剤を選び、使用上の注意を守ってください。イタチを傷つける目的で使うことは、法律上できません。

アライグマにバルサンを焚けば駆除できますか?

できません。

東京都環境局も、煙で追い出した動物は別の家に逃げ込むおそれがあるとしています。数を減らす根本的な解決にはなりません。

アライグマは自治体が捕獲に対応している地域もあります。まずは市区町村の窓口に確認してください。

ハクビシンに燻煙剤は何回使えばいいですか?

公的な目安はありません。1回で出ていくこともあれば、足音が止まらないこともあります。

何度も焚くより、侵入口の場所を探すほうに力を入れたほうが近道です。

煙で動物が死んでしまうことはありますか?

天井裏の動物にどう作用するかを示した公的な情報はありません。普通のバルサンは、そもそも天井裏では使えない製品です。

天井裏で使える忌避剤でも、動物を閉じ込めた状態で使うのは避けてください。

まとめ

  • バルサンは害虫用の殺虫剤で、害獣を駆除する薬ではない
  • 煙の効果は一時的な追い出しまで。侵入口をふさがないと戻るおそれがある
  • 子育て中は使わず、傷つける目的でも使わない

まずは、使おうとしている製品の説明書で「天井裏で使えるか」を確かめてください。あわせて、家の外まわりで侵入口になりそうな穴を探しておくと、追い出したあとにすぐ動けます。

子どもの鳴き声がする、高い所に穴がある。そんなときは、無理をせず業者の調査を使うのが安全です。

参考にした情報

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