夜中に天井裏から足音がして、眠れない日が続いている。
正体の見当はついたけれど、どうやって出ていってもらえばいいのかわからない。
この記事でわかること
- 追い出しから再発防止までの正しい順番
- 燻煙剤・忌避剤・音(超音波)の効き方と使い方
- 子育ての時期や法律で気をつけること
手順は「追い出す→いなくなったのを確かめる→侵入口をふさぐ」の3段階です。
順番を守らないと何が起きるかは、次の章で。
傷つけずに追い出すのは自分でもできますが、捕まえるには原則として許可が必要です。
追い出しは3段階で進める
穴をふさいだりグッズを買いそろえたりする前に、まず全体の流れを押さえておきましょう。
| 段階 | やること | 目安の期間 |
|---|---|---|
| 1. 追い出す | 燻煙剤や忌避剤で「居づらい場所」にする | 数日〜1週間ほど |
| 2. 確かめる | 足音・足跡がないか見る | 数日ほど |
| 3. ふさぐ | 侵入口を金網やパテでふさぐ | いなくなったらすぐ |
期間は家の広さや動物によって変わるので、あくまで目安と考えてください。
相模原市も「動物が建物の中にいないことを確認してから侵入口をふさいで」と案内しています。
順番を間違えるとどうなるか
追い出す前に穴をふさぐと、中の動物は外へ出られなくなります。
出口を探して天井や壁を壊したり、中で死んで強い臭いが出たりするおそれも。
始める前に正体を確かめておく
効く方法も、法律の扱いも、動物によって違います。
まだ正体がわからないなら、足音やフンで見当をつけるところから始めるのが近道です。

動物別:追い出し方と法律の早見表
正体がわかったら、次の表で自分のケースを確認してみてください。
| 動物 | 追い出し | 自分で捕獲 | 気をつける時期 |
|---|---|---|---|
| ハクビシン | できる | 原則許可が必要。自治体に確認 | 出産期が3〜12月と長い |
| アライグマ | できる | 原則許可が必要。自治体に確認 | 出産は4〜6月ごろ |
| イタチ | できる | 許可が必要と考える | 公的な時期の数値なし |
| コウモリ | できる | 常に許可が必要 | 出産7月ごろ、冬眠11〜4月ごろ |
| 家ネズミ | 向かない | 許可なくできる | 秋〜冬に屋内の被害が増える |
出産期の数値は、国立環境研究所の侵入生物データベースと前橋市の案内から。
イタチの扱いは、あとの「法律」の章でくわしく説明します。
ネズミは「追い出す」より「捕まえる」が基本
家ネズミ(ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミ)は、鳥獣保護管理法の対象外です。
体が小さく、追い立てても家の中のすき間に逃げ込みがち。そのため編集部では、追い出しより捕獲が向いていると考えています。
わが家の体験談
わが家の天井裏にいたのはネズミでした。追い出しは試しておらず、粘着シート型のネズミ捕りを置きました。
捕まったのは、設置から約1か月後です。その後、再発はしていません。
ネズミの捕まえ方は、「ネズミ駆除は自分でできる?」の記事にまとめています。

ステップ1:燻煙剤・忌避剤で追い出す
ハクビシンやコウモリなどは、天井裏を「居心地の悪い場所」に変えて追い出すのが基本。
燻煙剤(煙が出る殺虫剤)を使う
酒田市・相模原市・前橋市などが、追い出しの方法として燻煙剤を挙げています。
ただし一般的な殺虫用の燻煙剤は、メーカーが天井裏での使用を認めていません。天井裏で使えると表示された製品を選び、使用上の注意を守ってください。
使い方の流れは次のとおり。
- 点検口や押し入れの天袋など、天井裏に届く場所を探す
- 「天井裏で使える」と表示された、火を使わないタイプを選ぶ
- 説明書で、使える広さと使用上の注意を確かめる
- 説明書に指示があれば、火災報知器にカバーをかける
- 点検口から腕を伸ばして置ける範囲に置き、作動させたらすぐ離れる
- 決められた時間がたったら換気する
天井裏には上がらないでください。天井板は、人の体重を支えられないことがあります。
煙は家じゅうに広がるため、ペットや水槽は別の部屋へ。
相模原市によると、天井裏に入った動物は、食べ物を探すために外へ出ます。

忌避剤(動物が嫌がるにおい)を置く
燻煙剤の効果は一度きり。忌避剤は、においを長く残して「戻りにくくする」役目をします。
公的な案内で挙がっているのは、次のようなものです。
- 木酢液(炭を焼くときに出る焦げたにおいの液)や、強いミントのにおい:相模原市
- ナフタリンなどの固形忌避剤、スプレーの忌避剤:つくばみらい市・前橋市(コウモリ)
相模原市も、ミントについては「嫌うとも言われています」という書き方です。
どれも「必ず出ていく」と確かめられたものではありません。燻煙剤のあとの戻り防止として使うと、役割がはっきりします。
居室の真上に置く薬剤なので、においが部屋に下りてくることもあります。説明書の使用量は守ってください。
忌避剤の選び方と置き方
選ぶときに見ておきたいのは、次の4つです。
- 効き目の続く期間が書いてあるか
- 天井裏の奥まで届く形か(スプレーより置き型や燻煙タイプ)
- 対象の動物が書いてあるか(ハクビシン用、コウモリ用など)
- においの強さ(寝室の真上なら控えめなもの)
置く場所は、フンが集まっているところや侵入口の近く。においは時間とともに弱くなるので、説明書の期間ごとに交換しましょう。
点検口で作業するときの身支度
点検口を開けるのは、マスク・手袋・長袖を身につけてから。
厚生労働省は、動物のフンや尿に直接触れない、吸い込まないよう注意を呼びかけています。
音や超音波で追い出せるのか
音で追い出せないか、と考える方は多いはず。ただ、ここは期待しすぎないほうが安全です。
超音波グッズは「慣れ」に注意
参考になるのが、農研機構(国の農業研究機関)がシカに超音波を聞かせた実験。
結論は、シカが超音波を嫌がる可能性はきわめて低く、「必ず慣れる」というもの。
音に耳を向ける反応は、1回目の平均74秒から、2回目以降は8〜17秒に減りました。
そのうえで農研機構は、シカについて「超音波を被害対策に用いるべきではない」としています。
これはシカの実験で、ハクビシンやネズミの結果ではありません。
とはいえ、屋根裏の動物に効くという公的な裏付けもないのが現状です。お金をかけるなら、燻煙剤と侵入口ふさぎを優先してください。
スマホの「追い出し音アプリ」は
スマホのアプリで動物を追い出せると確かめた公的な情報は、見つかりませんでした。
天井板ごしに音を流しても、奥まで届くかはわかりません。
人の気配を感じさせる
農林水産省のマニュアルは、ねぐらを作らせない対策にふれています。見回りなどで「人の気配を感じさせることが必要」という内容。
たとえば天井を棒で軽くたたく、点検口を開けて中をライトで照らす、といったやり方です。これは編集部の考える例で、マニュアルに書かれた方法ではありません。
これだけで出ていくとは限りませんが、燻煙剤と一緒に使えば「居づらさ」は増すでしょう。
ステップ2:いなくなったのを確かめる
追い出しで一番見落とされやすいのが、この確認です。
足音と足跡で確かめる
- 夜の足音を聞く:2〜3晩続けて、足音がしないか確かめる
- 粉をまいて足跡を見る:侵入口の下に小麦粉や石灰を薄くまき、翌朝に見る
酒田市も、通風口の下に石灰などの白い粉をまいて、足跡で確かめる方法を紹介しています。
粉の上に新しい足跡がつかなくなったら、出ていった目安になります。
夜に出ていくタイミングを使う
コウモリなら、日没後10〜30分ほどで外へエサをとりに出ます(国立環境研究所)。
出ていったのを確かめた夜や翌朝に、侵入口をふさぐ段取りを組むと、閉じ込める心配が減ります。
ステップ3:侵入口をふさぐ
出ていったのを確かめたら、すぐにふさぐこと。時間をあけると、また戻ってくるおそれがあります。
農研機構の実験では、ハクビシンは一辺8cmの正方形、直径9cmの円形のすき間を通り抜けました。
長方形なら、横長6×12cm・縦長11×7cmのすき間も通れたそうです。
網はプラスチックより金属製を選び、2階の屋根まわりなど高い所は業者に任せてください。
侵入口の探し方と、場所ごとのふさぎ方は「屋根裏の動物はどこから入る?」の記事にまとめました。

子育て中の時期は追い出しを急がない
屋根裏で子どもを育てている時期に親だけ追い出すと、子どもが取り残されます。
子どもは自分では出られません。鳴き続けたり、中で死んで臭いが出たりすることも。
子育て中かどうかの見分け方
- 足音とは別に、高い声で「キーキー」と鳴く声がする
- 夜に親が出たあとも、天井裏で小さな物音が続く
早見表の出産期にあたるなら、なおさら注意が必要です。
ハクビシンの出産期は3〜12月と長く、ほぼ一年中あり得ると考えておきましょう。
コウモリは7月ごろに出産し、11〜4月ごろは冬眠します。子が飛べる前や冬眠中に追い出すと、中に残る個体が出てしまいかねません。
出産期と冬眠期をはずして行うのが無難です。子育ての可能性があるなら、自治体か業者に相談してから進めてください。

法律で許されること・許されないこと
屋根裏の動物の多くは、鳥獣保護管理法という法律で守られています。
追い出しはできる、捕獲や殺傷は原則だめ
| やること | 家ネズミ | ハクビシン・アライグマ | イタチ | コウモリ |
|---|---|---|---|---|
| 燻煙剤・忌避剤で追い出す | できる | できる | できる | できる |
| 侵入口をふさぐ | できる | できる | できる | できる |
| わなで捕まえる | できる | 原則許可が必要。自治体に確認 | 許可が必要と考える | 許可が必要 |
| 殺す・傷つける | できる(法の対象外) | 原則許可が必要 | 許可が必要と考える | 許可が必要 |
許可なく野生の鳥獣を捕まえると、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象に。
ハクビシン・アライグマ・イタチの扱い
ハクビシン・アライグマ・イタチのオスは、狩猟鳥獣(狩猟で捕ってよいと国が決めた鳥獣)です。
イタチのメスは狩猟鳥獣ではありません。見分けも難しいので、イタチは許可が必要と考えてください。
狩猟鳥獣には、法律上の例外もあります。柵などで囲まれた住宅の敷地内なら、銃を使わない方法に限り、許可なく捕まえられるというもの。
とはいえ、狩猟期間に限るなど、自治体によって説明が分かれているのが実情です。捕まえる前に、住んでいる市区町村に確認してください。
アライグマは特定外来生物ですが、だからといって誰でも捕まえてよいわけではありません。
コウモリは捕まえられない
コウモリは狩猟鳥獣ではないため、捕獲や殺傷にはいつでも許可が必要です。
自分でできるのは、傷つけずに追い出して、侵入口をふさぐところまで。

自分でやるか業者に頼むかの判断
次のどれかに当てはまるなら、業者に調査を頼んだほうが早く片づくことが多いです。
- 燻煙剤を2回使っても足音が止まらない
- 侵入口が2階の屋根まわりなど高い所にある
- 子どもの鳴き声がする
- 天井にシミが出ている、臭いが強い
- 正体がわからない
業者によっては、フンの清掃や消毒まで請け負うところもあります。
見積もりのときは、作業の内容と再発したときの保証を確かめておくと安心。対応地域も業者ごとに違います。
費用の目安は、「屋根裏の動物駆除はいくら?」の記事にまとめました。

追い出したあとにやること
動物が出ていっても、天井裏にはフンや尿、ダニが残ったまま。
フンの掃除と消毒
マスクと手袋をつけ、ほうきで掃かずに袋へ入れて取ります。乾いたフンを掃くと、ほこりと一緒に吸い込むおそれがあるためです。
取ったあとの場所は、市販の消毒剤でふいておけば安心でしょう。
ダニが出てきたら
ネズミに寄生するイエダニは、宿主がいなくなると人の部屋にはい出して刺すことがあります(豊島区)。
追い出しや駆除のあとに体がかゆくなったら、ダニを疑ってください。
戻ってこないかを1か月ほど見る
ふさいだ場所がこじ開けられていないか、ときどき外から見ておきます。
庭木の枝が屋根に届いていれば切り、生ごみやペットのエサは外に置かない。
どちらも相模原市が案内している対策です。
よくある質問
屋根裏の動物を追い出す音はありますか?
これを流せば必ず出ていく、という音は公的には確かめられていません。
超音波は、シカの実験で「慣れる」とされています。天井をたたくなど、人の気配を感じさせる使い方が現実的でしょう。
忌避剤だけで追い出せますか?
においだけでは確実ではありません。使い分けは、上の「忌避剤を置く」の項を見てください。
ハクビシンを屋根裏から追い出すには何日かかりますか?
公的な目安はありません。
燻煙剤を使ったその夜に出ていくこともあれば、何度か繰り返すこともあります。足音が数晩止まり、粉に足跡もつかなくなってから、侵入口をふさいでください。
賃貸住宅の場合はどうすればいいですか?
侵入口をふさぐ工事は、建物に手を加えることになります。自分で作業する前に、大家さんか管理会社へ連絡を。
市役所は追い出しを手伝ってくれますか?
相模原市のように、アライグマは市が捕獲に対応するところもあります。
ただ、対応は自治体によってかなり違います。まずは市区町村の環境課などに電話で確かめてください。
まとめ
- 順番は「追い出す→いないのを確かめる→すぐふさぐ」
- 超音波や音アプリより、燻煙剤と侵入口ふさぎにお金と手間をかける
- 子育ての時期と、捕獲の許可には特に注意する
まずは今夜、足音がする時間帯と、家の外の穴の場所をメモしてください。それが、燻煙剤を使う日と、ふさぐ場所を決める材料になります。
高い所の作業や子育て中のケースは、無理をせず業者の調査を使うのが安全です。
参考にした情報
- 環境省「鳥獣保護管理法の概要」
- 環境省「狩猟鳥獣」
- 千葉県「野生鳥獣の捕獲について」
- 農林水産省「中型獣類の被害対策マニュアル」
- 農研機構「ハクビシンは狭い隙間から侵入できる」
- 農研機構「ニホンジカは超音波を聞くことができるが、忌避・嫌悪しない」
- 国立環境研究所 侵入生物データベース「ハクビシン」
- 国立環境研究所 侵入生物データベース「アライグマ」
- 国立環境研究所 侵入生物データベース「アブラコウモリ」
- 相模原市「屋根裏に棲みついたハクビシン等で困っています」
- 酒田市「ハクビシンについて」
- 前橋市「コウモリについて」
- つくばみらい市「コウモリについて」
- 厚生労働省「動物由来感染症ハンドブック2025」
- 豊島区「ネズミとイエダニ」
