天井裏で重たい足音がする。天井板に茶色いシミが出てきた。
ハクビシンかもしれないと思ったとき、多くの方が「どうやって退治すればいいのか」と迷います。
この記事でわかること
- ハクビシン駆除の全体の流れ(4つの段階)
- 自分でできる作業と、業者に任せたほうが安全な作業の線引き
- 自治体に相談できることと、イタチ・アライグマとの違い
ハクビシンの駆除は、捕まえて殺すことではありません。
追い出して入り口をふさぎ、汚れを片付けて、また来ないようにする流れが基本です。
低い場所の作業は自分でもできます。高い所や子育て中の場合は、業者に任せるほうが安全です。
ハクビシンの駆除とは何をすること?
駆除は4つの段階で考える
家に住み着いたハクビシンへの対処は、次の4段階に分けると整理しやすくなります。
| 段階 | やること | 自分でできるか |
|---|---|---|
| 1. 追い出す | 燻煙剤や明かりで居づらくする | 手の届く範囲ならできる |
| 2. ふさぐ | 侵入口を金網などで閉じる | 低い場所ならできる |
| 3. 片付ける | ため糞や尿の汚れを取り、消毒する | 手の届く範囲ならできる |
| 4. 寄せ付けない | エサ場や足場をなくす | できる |
どれか1つだけでは終わりません。特に「追い出したのにふさがない」と、また戻ってくるおそれがあります。
「退治」でも、捕獲や殺すことには許可が要る
ハクビシンは、鳥獣保護管理法の対象になる野生動物です。
捕まえたり殺したりするには、原則として許可が必要です。
囲いのある住宅の敷地内などでは例外もありますが、扱いは自治体によって違います。捕まえる前に市区町村へ確認してください。
許可の取り方や箱わなの扱いは、別の記事にまとめています。

「有害鳥獣駆除」とは
検索すると「有害鳥獣駆除」という言葉が出てきます。
被害を防ぐ目的で、許可を受けて野生動物を捕獲することを指す言葉です。自治体の案内では「有害鳥獣捕獲」と書かれることもあります。
個人が自由にできる駆除とは別のもの、と考えてください。
駆除を始める前に確かめること
本当にハクビシンか
天井裏の動物は、ハクビシンのほかにネズミ、イタチ、アライグマ、コウモリなどがいます。
動物によって、自分でしてよいことが変わります。先に正体の手がかりを確かめてください。
- フン:棒状で、同じ場所にためる「ため糞」がある
- 天井:尿がしみて、板にシミが広がる
- 時間帯:主に夜に動く。夕方や朝方もある

子育て中ではないか
ハクビシンの出産期は3〜12月と長く、屋根裏で子を育てることがあります(国立環境研究所)。
子どもがいるのに親だけ追い出すと、子が取り残されます。親も戻ろうとするので、被害が長引きかねません。
夜、親が出たあとも小さな鳴き声が続くなら、子育て中を疑ってください。その場合は無理に追い出さず、自治体か業者に相談します。
国分寺市は、子育てが終わると自然に出ていく傾向があると案内しています。
自分でできること
ここからは、はしごに上らずにできる作業が中心です。
追い出す:燻煙剤・忌避剤・明かり
燻煙剤(煙の出る殺虫剤)での追い出しは、酒田市・山形市・新潟市などが案内しています。
点検口から腕を伸ばして届く範囲に置き、天井裏には上がらないでください。
木酢液などの忌避剤は、においだけで出ていくとは限りません(相模原市)。燻煙剤のあとの戻り防止として使うのが現実的です。
具体的な手順と、出ていったかの確かめ方は、次の記事で詳しく説明しています。

ふさぐ:低い場所の侵入口
ハクビシンは、幅6cmほどの細長いすき間でも通り抜けます(農研機構の実験)。
自分でふさげるのは、地面に立ったまま手が届く場所です。
- 基礎の通風口、床下の換気口
- 1階の外壁の穴や、板の継ぎ目のすき間
- 物置や勝手口まわりのすき間
材料は、押し広げられない鉄やステンレスの金網を使います。換気口は空気の通り道なので、板でふさがずに金網で覆ってください。
ふさぐのは、中にいないことを確かめてからです。閉じ込めると、中で死んで臭いの原因になるおそれがあります。
片付ける:手の届く範囲のため糞
厚生労働省は、動物のフンや尿に直接触れない、吸い込まないよう注意をよびかけています。
マスクと使い捨て手袋をつけ、フンは霧吹きで湿らせてから取るのが基本です。乾いたまま掃くより、ほこりが舞いにくくなります。
掃除は、点検口から手の届く範囲まで。奥に広がっている場合は、次の章のとおり業者に任せてください。
寄せ付けない:エサ場と足場をなくす
ハクビシンは雑食で、果実を好みます(国立環境研究所)。
庭に落ちた果樹の実や、外に出したままの生ごみは片付けておくと安心です。
屋根にかかる庭木の枝を切るのも、自治体がよく挙げる対策です。
においや音を使った撃退法は、予防の記事にまとめました。

業者に任せるべきこと
次のような場面は、自分でやろうとすると危険だったり、かえって長引いたりします。
| 場面 | 業者に任せたい理由 |
|---|---|
| 侵入口が2階の軒下や屋根の上にある | はしごや屋根からの転落のおそれ |
| 天井裏で子どもの鳴き声がする | 子を残して封鎖すると、臭いや再侵入につながる |
| ため糞が天井裏の奥に広がっている | 大量のフンや尿に触れ、吸い込むおそれ |
| 天井のシミが広がり続けている | 天井板の傷みの確認や交換が必要になりうる |
| 侵入口の見当がつかない | ねぐらを複数持ち、入り口も1か所とは限らない |
| 追い出しても何度も戻ってくる | 見落とした侵入口がある可能性が高い |
酒田市も、侵入口のふさぎ方は工務店などに相談するよう案内しています。
業者によっては、封鎖と清掃・消毒をまとめて頼めます。
見積もりでは、作業の範囲と、再発したときの保証があるかを確認してください。
料金の相場と、依頼から作業までの流れは次の記事で紹介しています。

自治体に相談できること
ハクビシンの対応は、自治体によって大きく違います。
- 条件を満たせば、区が委託業者で捕獲する地域がある(渋谷区、世田谷区)
- 箱わなを貸し出す市がある(山形市など)
- 市では捕獲や駆除をしないと明記する市もある(水戸市、市川市)
「市役所が来て駆除してくれる」とは限りません。それでも、捕獲許可の手続きや業者の紹介など、聞けることはあります。
電話するときは「ハクビシンらしい動物が屋根裏にいる」「持ち家か賃貸か」も伝えると、話が早く進みます。

イタチ・アライグマとは何が違う?
「ハクビシン、イタチ、アライグマ」はまとめて語られがちです。ただ、扱いは少しずつ違います。
| 動物 | フンの特徴 | 法律上の主な注意点 |
|---|---|---|
| ハクビシン | 棒状。ため糞をする | 捕獲は原則許可が必要。住宅敷地内の例外の扱いは自治体で異なる |
| アライグマ | 泥状から固形まで。ため糞はしない | 特定外来生物。それでも誰でも捕獲してよいわけではない |
| イタチ | 1か所にまとめる。悪臭が強い | メスは狩猟鳥獣ではない。見分けが難しく、許可が必要と考えるのが無難 |
追い出して、ふさいで、片付けるという流れは3種とも同じです。
違うのは、捕獲の扱いと、相談できる自治体の事業です。アライグマは専用の捕獲事業を持つ自治体もあります。
どの動物か自信がないときは、自治体に相談するときも「正体がわからない」と正直に伝えてください。
自分でやるか、業者に頼むかの判断手順
迷ったときは、次の順番で考えてみてください。
- 子どもの鳴き声がするか:する場合は追い出さず、自治体か業者に相談
- 侵入口はどこか:2階以上や屋根なら業者へ
- フンや尿の量は:点検口から届かない奥まで広がっていれば業者へ
- 1〜3に当てはまらない:自分で追い出し、低い侵入口をふさぎ、手の届く範囲を片付ける
- 1〜2週間たっても物音が続く:見落としがあると考えて業者に調査を頼む
5の期間は、編集部が考えた目安です。公的に決まった日数はありません。
よくある質問
ハクビシンを駆除すると100万円の罰金になる?
許可が必要な場面で、無許可で捕まえたり殺したりした場合の罰則です。1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が定められています。
追い出しや侵入口をふさぐことは、捕獲ではありません。傷つけない方法なら、許可なく行えます。
ハクビシンを自分で殺してもいい?
原則としてできません。殺すことも、捕まえることと同じく許可の対象です。
住宅敷地内の例外や許可の取り方は、自治体によって扱いが違います。行動する前に市区町村へ確認してください。
東京でハクビシンの駆除を頼むには?
東京23区では、区が委託業者で捕獲する制度を持つ区もあります。まず住んでいる区の担当課に問い合わせてみてください。

殺鼠剤(ネズミ用の毒エサ)は使える?
殺鼠剤はネズミ用の薬剤です。ハクビシンに使うことは、許可のない殺傷にあたるおそれがあります。
天井裏で死ぬと、強い臭いの原因にもなります。使わないでください。
まとめ
- 駆除の基本は「追い出す・ふさぐ・片付ける・寄せ付けない」で、捕獲は最後の手段
- 低い場所の封鎖や手の届く範囲の掃除は自分でできる
- 高所、子育て中、大量のため糞は業者に任せる
まずは昼間に家のまわりを一周し、基礎の通風口や軒下にすき間やこすれた跡がないか見てください。
高い所に入り口がありそうなら、無理をせず業者に調査を頼むのが近道です。
参考にした情報
- 環境省「鳥獣保護管理法の概要」
- 環境省「狩猟鳥獣」
- 神奈川県「野生鳥獣の捕獲について」
- 千葉県「野生鳥獣の捕獲について」
- 国立環境研究所 侵入生物データベース「ハクビシン」
- 国立環境研究所 侵入生物データベース「アライグマ」
- 座間市(アライグマ)
- 農林水産省「中型獣類の被害対策マニュアル」
- 農研機構「ハクビシンは狭い隙間から侵入できる」
- 酒田市「ハクビシンにご注意ください」
- 相模原市「屋根裏に棲みついたハクビシン等で困っています」
- 国分寺市「自宅の屋根裏にハクビシンが住みついています」
- 渋谷区「ハクビシン・アライグマによる被害を防ぐために」
- 世田谷区「ハクビシン・アライグマ対策」
- 水戸市「ハクビシンが屋根裏に住み着いたので、市で対処してほしい」
- 市川市「ハクビシンについて」
- 山形市「ハクビシンの被害防止について」
- 枚方市(イタチ)
- 厚生労働省「動物由来感染症ハンドブック2025」
